#10 医薬分業

今日のサルには効かない薬の話のテーマは「医薬分業」です。
私は医薬品の開発の専門家(何度でも言い切ってみる!)ですから、医療制度そのものには詳しくはないのです。ええ、私にとっては難しい話題ですよ。それでも社会派コラムを目指していますから訊かれたことには答えてみます。答えてみせます。社会派=モテです。間違いない。(←ものすごく不純な動機)

まあ、前置きはこのくらいにして、早速本題に入っていきましょう。

# inui 『感謝ついでに何なのですが、佐賀に来てからというものどういうわけか病院と薬局が別で面倒なことが多い。名古屋では一回も無かったのに!姉(看護婦)曰く「そのほうがよかよか」と言葉を濁すばかり。というわけでつるさんには日本政府が推し進める「医薬分業」という謀略的事業について熱く語ってもらいたいのですが。どうですか。』

ちょっと前までは(といっても数年前ですが)、ほとんどの病院には薬剤部なるものがあって、診察を受けた後にそこに立ち寄り、薬を受け取って帰ってきたものです。
ところが、なぜか最近は病院では薬をもらわずに処方せんだけを受け取り、目の前に薬局に行くというのが多くなってきています。確かに二度手間でめんどうくさい。なのになぜこんなことになっているのでしょう?

と、その前に「医薬分業」を簡単に説明すると…

医師が診療し、薬剤師が調剤する

ということです。
…簡単過ぎますか。そうですか。
まあ、病院では薬を渡さずに処方せんを発行し、保険薬局の薬剤師が調剤して薬を渡すことで、医師と薬剤師がそれぞれの専門性を発揮するということですよ。

医薬分業のメリットとしては、
(1)処方せんで患者に薬の内容がわかる。
(2)かかりつけ薬局が患者の薬に関する記録(薬歴といいます)を保管しているので、薬に対するアレルギー・副作用などに対応できる。
(3)薬の重複や危険な飲み合わせをチェックできる。
(4)1回に飲む薬をまとめたり、薬の情報を説明したりできる。
などが挙げられ、ようするに薬の使用がより安全になるということです。
これだけ見ればそりゃもう素晴らしいシステムです。

では、なぜこんな素晴らしいシステムが取り入れられてこなかったのでしょう?

歴史的背景がどうだとか、ああだとか、という面倒な話はしません。
ずばり、

「病院が薬で儲けていたから」

です。

薬の価格は薬価というもので決められているのですが、実際は病院は安い値段で仕入れて、差額を生み出していました。この差額、いわゆる薬価差益は病院の重要な収入源だったのです。
そんな収入源を病院が手放すわけは無いので、病院の中に薬剤部があって、そこで薬が渡されていた。というわけです。
ここで良く考えると、以前の病院は、必要だろうが不必要だろうが薬をじゃんじゃん出せばとりあえずは儲かっていたということになります。そうすると、まあ、じゃんじゃんと出すわけですね。

一方で、日本は国民皆保険ということで、医療費を国が負担しています。とはいっても元は私たちのお金ですけど。それはまあともかくとして、医療保険制度は財政的に結構ピンチな状況で、年金と同じくかなり危ないんですが、それを説明するのは医療制度の専門家なんぞにまかせるとして、そのピンチな医療保険制度を救うために(というか問題先送りのため?に)、本人3割負担とかそういう話が出てきているんですが、国は医療費削減の一環で薬剤費も抑えることを考えました。

じゃあ薬剤費がこれ以上増えないようにどうするか?
国は病院が薬で儲からないようにしようとしたのです。

薬で儲からなくなれば、病院に薬剤部を持っておくことは、あまりメリットがありません。

…と言うことでここ数年で医薬分業が進んできたという訳です。

国は保険制度のピンチをはっきりと知られたくないので、ああだこうだといろんなメリットを並べ立てて医薬分業を推進する政策を立ててきたのです。
たしかに医薬分業それ自体は決して悪い制度ではないのですが、動機が不純です。私が「この社会派コラムを書いたらバレンタインデーにチョコレートが届かないかなあ」と考えているくらい不純です。チョコ欲しいです。このコラムを書いたら絶対にチョコレートが届くはずです。というか早く届けるといい。>ALL



…ええと、まあ、医薬分業はお金の問題から来ていることなので、どんなに「より良くなりますよ」と言っても、医薬分業の推進に向けた周辺環境の整備は後回しになっているのが現状です。
処方せんについて答えない医師、診療内容を知らない薬剤師、薬局から情報を取らない製薬会社、そして、相変わらずかかりつけ薬局を持たない患者…問題点は山積みです。現状では患者の負担が増えただけになっているのかもしれません。

つまり、乾さんの質問にもあったとおり、医薬分業は謀略的事業なんです。バレンタインデーの消費活動推進と同じくらい謀略的事業なんです。いや、でも私はチョコ欲しいです。このコラムを書いたら絶対にチョコレートが届くはz(以下略)


早くチョコ届かないかな?

tsuru の紹介

株式会社オフィスコトウ取締役
カテゴリー: くろいおとな的薬の話   パーマリンク

#10 医薬分業 への7件のコメント

  1. ピンバック: 破竹ネット

  2. より:

    住所を書いたら誰かが送ってくれるんじゃないですかね(笑)

  3. 匿名希望 より:

    私、名古屋の人ですけど、医薬分業普通ですけど……。
    今、病院は赤字のとこばっかりみたいですね。で、製薬会社ばかり儲かる、と。だからつるさんは恵まれてらっしゃるのでは?

  4. つる より:

    >鰆さん
    まず鰆さんが私に送るべきです!
    あと、私を差し置いて、鰆さんがチョコをもらうような事があれば、私は禁肉マラソンに参加します!

    (ちなみに鰆さんは♂です)

    >匿名希望さん
    まず最初に、私は恵まれてないですよ!恵まれない私に愛の手を!(合いの手が入ったりするんだろうなあと思いつつ)
    1990年頃までは10%台だった医薬分業はこの国家的謀略の成果で急速に普及して、今は40%を超えていたかと思いますので、まあ、今の名古屋では普通といえば普通でしょう。
    また、製薬会社ばかり儲かるとのことですが、病院経営が赤字だというのと製薬会社が利益を得ることとは必ずしも一致していないと考えています。

  5. より:

    ボクは間違いなくもらえますので、つるさんは禁肉マラソンに参加することになりますね。
    なんなら登録作業もしておいてあげましょうか。

  6. つる より:

    そうですよね。鰆さんは間違いなくもらえますよね。
    だって、鰆さんはイケメnうわあなにをするやめr

  7. 匿名希望 より:

    亀レス申し訳ありません。
    http://www.miyabi-c.co.jp/hidamari/kouhei/2001_12_kou/2001_12_kou.htm
    私は医療福祉関係の勉強をしていて、以前、社会保険制度の問題点について調べたことがあります。
    その過程でこのサイトを読んで、そういう印象を抱いたのでした(古い資料ですが)。
    上で「製薬会社儲かってる! ムキー!」とえらそうなことを言っておきながら、実は全然意味がわかってないので(病院経営は赤字だーだからお前らの就職先はないーと学校で口をすっぱくして言われてたりはしますが)、もしよろしければお暇なときにでも解説いただけると嬉しいにゃ(萌えアピール)

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