#19 開発者の工夫…コスト対策

医薬品に用いられる製造機器は、安定して高い性能が要求される上、それを作るためだけにしか使用できない専用機器なので非常に高価になります。
一般のスポーツカーとレーシングカーくらい違うようなイメージを持っていただければちょうどいいかと思います。あるいはシャア専用。

開発中の医薬品は途中でダメになることもあり、専用機器を買ってしまって即中止…などという可能性もあるので、ある程度の見込みがなければそうそう高価な製造機器を気軽に購入というわけにはいきません。
とはいうものの、このような機器がなければ試作品を作ることはできません。

こういった場合は身近にある物を代用して使うことがあります。
苦し紛れといいますか、何と言いますか。

しかしながら、これが実は結構使えたりするんです。

さてさて、ある時、ある人に「XXXクリーム(仮称)の試作品を作れ」というテーマが与えられました。
このXXXクリームの製造には (1)原料(液体と固体)を保温しながら (2)かき混ぜる という機械が必要でした(相転移温度とかいろいろ詳しい説明は省くことにします)。
いつか機会があったら、クリームの作り方とか説明しましょうかねえ。

試作品の製造ですから、いろいろと条件を変えて、何度も何度も試作品を繰り返し作る必要があります。
今ある商業生産用の設備は巨大なモノなので、一個の試作品を作るのに原料がものすごくたくさん必要です。原料がたくさん必要ということは開発費がたくさん必要ということです。なので、商業生産用の設備は使えません、かといって専用の小さな機械は先ほど書いたように高価なので、予算が少ない我が社では買うことも出来ず、担当者はすっかり困ってしまいました。
あ、いけね。我が社と違います。とある会社の話です。

お金も無い、設備もない、困った困った。

そこで、担当者は考えました。
「何か代わりになるものはないのかな?」

(1)原料(液体と固体)を保温しながら (2)かき混ぜることのできるもの…
温めながら、混ぜられるもの…

「そうだ。もちつき機だ!もちつき機を使おう」

Google 検索: もちつき機

もちつき機には保温機能があり、かきまぜる事もできます。フタもできます。
それに電器店で販売している普通の家電ですから、値段も安い。
このXXXクリームの試作のためにはもってこいの家電でした。

…ただ、試作品を作るにはちょっと小さいため、もちつき機をたくさんそろえる必要がありましたが。
…季節外れ(夏)でしたが。

売ってねえよ!
S市内にある電器店に電話かけまくりましたよ。
タウンページで上から順番にかけましたよ。
「はあ?もちつき機ですか?今は扱ってないです」とか言われましたよ。

あ、いけね。私じゃないです、とある担当者の話です。

ということで、こうした努力の結果、S市内にある電器店からもちつき機10台が買い集められ、XXXクリームの開発がスタートしたのでした。

(以前はてなダイアリーで書いていたものを修正しました)

tsuru の紹介

株式会社オフィスコトウ取締役
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