「サリドマイド、がん治療薬に」(東京新聞)
「サリドマイド」……この言葉を聞いても、若い人だとピンとこないかもしれません。
サリドマイドは「薬害」の歴史とともに語られる薬剤で、その全体像はサリドマイド被害やサリドマイド事件(日本の薬害・公害)に詳しく書かれているのですが、簡単に書くと、1960年代に「安全な睡眠薬」として全世界で販売されていたサリドマイドを妊婦が服用した時に四肢の全部あるいは一部が短いなどの独特の奇形をもつ子供が産まれてきた。というものです。
映画「典子は、今」(1981)でサリドマイド児として誕生した女性の半生が描かれているので、見たことがない人はぜひ一度ご覧ください。
さて、今日取り上げたのは、とうとうサリドマイドの開発に着手する製薬会社が出てきましたよ。というニュースです。
多くの悲劇を生んだ「悪魔の薬」サリドマイドが、ハンセン病や血液のがんの一種「多発性骨髄腫(しゅ)」の治療薬として海外で承認されているのに、国内では承認申請しようという製薬会社がなく、その結果、これらの病気の患者による個人輸入(実際は患者団体による輸入代行ですが)が急増していて、問題となっていたのです。
では、なぜ、他の製薬会社が今まで承認申請しようとしなかったのでしょうか?
「希少疾病用医薬品」として指定されたことからもわかるように、患者数は多くはありません。
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薬そのものの値段はおそらくそれほど高くなりません。(海外を参考にするとあまり無茶な薬価にはできないでしょう)
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販売できるようになっても、利益が少ないことが予想されます。
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サリドマイドは過去に重大な薬害を引き起こし、薬のイメージそのものが良くありません。もし、サリドマイド児が再び産まれてきたりすれば……。製薬会社は大きなダメージを受けるでしょう。
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それを防ぐためには、患者が安全に服用するために薬の管理や医師・薬剤師(←サリドマイドのことを知らない人だっているのです)への教育に十分なコストをかけることが必要になります。
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ますます利益は少なくなりますよね。
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そんな「儲からない」上に「危ない」薬をなにもウチがわざわざやらなくても……。
サリドマイドを販売することによる利益(経済的・道義的)に比べて、かかるコストが大きいですし、様々なリスク要因があって、非常に厄介です。ま、及び腰になりますよね。逆にこの製薬会社がどうして手を挙げたのかが不思議といえば不思議です。私自身が「開発しようとしなかった製薬会社」の側なのでなんともコメントしづらいのですけどね。