スギ花粉症が激増したのには、ディーゼル車を含め、さまざまな理由が挙げられていますが、もっともはっきりしている理由はアレルゲン(=アレルギーの原因物質)であるスギ花粉の増加です。アレルゲンへの曝露量が増すほど、アレルギー発症者数が増します。スギ花粉の飛散量が多くなればなるほど花粉症患者の数が増えます。
スギは樹齢30年近くになると、成木として一定量の花粉を飛散させるようになります。男性が大人になって精子を作るのと同じです。スギと人間では飛ばすメカニズムは違いますが。
戦後、主に1950~60年代にかけて、スギが多く植えられました。植林されたスギは立派に成長し、成木となって花粉を多く飛散させるようになりました。私は第二次ベビーブームに生まれ、あまり立派には成長しませんでしたが、成人となって精(以下自主規制)
育ったスギは伐採され、木材として使われる…はずだったのですが、30年も経てば事情もかわります。海外から安い木材が輸入されるようになり、日本国内の林業は順調に沈下していったのです。こうして伐採されるはずのスギが残ることになり、花粉を飛ばしっぱなしの状態になったのです。その結果、80年代にはスギ花粉の飛散量が倍増することになり、現在に至るわけです。
そして、今年は観測史上最悪のスギ花粉飛散量と予想されています。実にお気の毒です。
しかし、これは逆に、スギ花粉が少なくなればスギ花粉症の患者は少なくなるということを意味しています。何でもプラス思考でいくと道が開けてくるものです。
「スギ花粉が多いのなら、花粉を飛ばさないスギを作ればいいじゃない」と言ったかどうかは知りませんが、林野庁と独立行政法人「林木育種センター」が花粉症対策に無花粉スギを開発しています。やりました。すばらしい。
ただ、「スギは種の交雑を防ぐため、種苗法で植林地域が限定されており、茨城県で育成された爽春は、本州の宮城県以南の太平洋側と四国にしか植えられない。(朝日新聞)」上に、「世代交代には数十年かかるとみている。(毎日新聞)」とのことなのですが。
今、花粉症に悩まされている人たちは20~50代の人たちが中心で、数十年後には老化により免疫力が低下して、花粉症は自然に治ってしまう可能性の方が高いですが、国家百年の大計を考える林野庁ですから、今、スギ花粉症に苦しんでいる人たちよりも、ずっとずっと先のことを見据えているのでしょう。さすがです。昨年秋に発見したはずなのに花粉症が話題になるこの時期まで待って発表したのも決して話題作りなどではなく、国家百年の大計を考えてのことに違いありません。
ちなみに日本海側では今から10年以上も前の1992年に富山県で無花粉スギ「はるよこい」が発見されていて、苗木の生産体制が整うのが2011年、今から6年後です。こちらも、それから数十年かけて花粉症対策が取られていくことになります。GJ(グッド・ジョブ)です。
「そんな回りくどい方法は嫌だ」という方もいらっしゃるでしょう。そういう方にはスギの枝を落としたり、もっとダイレクトにスギを切り倒したりという直接的な方法をおすすめします。
これについても、林野庁では、花粉の発生量の抑制につながる森林整備の方法を開発するため、平成14年度から都市近郊のスギ等の人工林において抜き伐り、枝落としなどを実施しています。(「森林・林業とスギ・ヒノキ花粉に関するQ&A」)と、すでに行動を起こしています。さすがです。
「昨年度までに1100ヘクタールを伐採、今年度は全国で600ヘクタールのスギ林で行われる(読売新聞)」と目ざましい実績です。がんばっていますね。
ちなみに、この合計1100ヘクタールという実績の前ではすっかりかすんでしまうかもしれませんが、スギ林は関東地方だけでもおよそ300000ヘクタールあります。(参考資料)
いや、でも、これは仕方ないのです。
林野庁も全力を尽くしているのですが、林業そのものが不振なので、林業従事者が不足しているのです。平成12年度の国勢調査によると、全国の林業従事者はわずかに6万人です。年々減少しています。いかんせん人がいないのです。それでも、ボランティアの人に協力してもらったりして最大限努力した結果が1100ヘクタールなのです。林野庁の怠慢などと責めたりしてはいけません。
こういうときこそ、年々増加傾向にあり、全国で1300万人もいる大集団「スギ花粉症患者」は立ち上がるべきです。
…というわけで
スギ花粉症の人は林業に転職してスギ林を整備すべきだと黒い大人のヒトのブログ(株)は主張します。伐採のさいにはマスクと眼鏡をしっかりと着用してがんばってください。(さらにつづく)
ピンバック: 道案内フリーク日記 @ d