メルスモン製薬は悪くない

先日(2/16)、厚生労働省が「薬事法違反業者に対する行政処分について」ということで、メルスモン製薬を90日間の業務停止としました。
メルスモン製薬が命令を守らないでこれからも違法に作りつづける恐れがあると判断したようで、厚生労働省は重い処分を与えたようです。なんて失礼な。メルスモン製薬だって「ルールを守る」くらいは知っています。たぶん。

処分の理由は

ヒト胎盤を小片に切り滅菌しバイアル瓶に小分けしたもの(以下「ヒト胎盤製品」という。)を製造・販売していた。

ヒト胎盤製品を回収期限内に回収しなかった。

とのことですが、私はメルスモン製薬を全面的に擁護します。面白そうだから。

<理由その1>

まず、この違法だとみなされた医薬品の製造は、どうやら、厚生労働省が5年に1回行っている「適切に医薬品を製造しているか?」という調査(GMP査察といいます)の際に見つかったようです。

しかし、産経新聞の記事によると、メルスモン製薬は

遅くとも1993年ごろから (中略) 2003年は1万4000本余を製造していた

ということなので、1回は調査をパスしています。その次の調査で違法な製造が発見されたということです。おかしいですよね。
もし、メルスモン製薬側が意図的に隠していたとするなら、絶対に見つかるようなヘマはしません。つまり、違法ではないと考えていたのです。メルスモン製薬が違法かどうかわからないような「もお、この、うっかりさんたら(はあと)」な企業ならアレですが。まさかそんな。

その証拠に、メルスモン製薬は

「薬を製造したのではなく、研究会の医師が使うため同社に品質検査を委託しただけで、違法ではない」

と主張しています。つまり「製造にあたらない」ということですが、全くもってそのとおりです。これは決して違法な製造が見つかってしまったから、苦しい言い訳を考えてみたというわけではないでしょう。まさかそんな。

念のため厚生労働省の通知を調べてみましたが、小片に切ったのは「刻み加工」、滅菌したのは「滅菌」、バイアル瓶に小分けしたのは「充てん」という製造工程にバッチリあたるような気がしないでもないですが、それはきっと私の読解力が不足しているせいだと思うのでここでは割愛します。

さらに、メルスモン製薬の山口由紀子社長が2004年9月にこの「ヒト胎盤製品」の回収命令を受けた時点で

「医師から皮膚の下に埋め込む方法で治療に使いたいので作ってほしいと依頼を受けた。1年間に1万4000本を製造した」

「作ってほしい」「製造した」などと口走っていますが、それは言葉の問題です。雪印など多くの企業の不祥事でも証明されているとおり、社長という人はえてして現場のことを良く知らないものです。まあ、もう少ししっかりとお勉強した方が良いとアドバイスはしておきますが。

これらのことから「違法な製造ではない」ということが導き出せると思います。たぶん。

<理由その2>

次に、少し視点を変えて、違法な医薬品製造かどうかという問題から離れて考えてみることにしましょう。

メルスモン製薬が無許可で製造していたとされる「ヒト胎盤製品」は非常にいいモノなのです。

まず、原材料となる人間の胎盤は廃棄物処理法によって、病院から出る医療ゴミ、「感染性一般廃棄物」としての処理が義務付けられています。元々は捨てるために処理業者にお金を払っているようなゴミなので悪い病院は一般ごみに混ぜて捨てたりしているようなモノです。
メルスモン製薬ではわざわざ産婦人科にお金を支払ってこれを購入しています。

さらに、できあがった「ヒト胎盤製品」は、先ほどの産経新聞の記事によると

免疫力の回復などに効果があるとして皮下注射で埋め込む療法で使っていたとされる。

ということで、有効に利用されていました。「ヒト胎盤製品」が許可を得られていないので、健康保険の適用外となるのが残念ですが。
そんなことはともかく、埋め込み療法は、1回2万6000円(ヴェリイ美容形成クリニック)ということもわかりました。

メルスモン製薬は1回1本2万6000円のモノを1年間で1万4000本作っていたという計算ですから…末端価格にして3億6000万円相当になります。末端価格と書くとドラッグっぽくなってしまいますが、まあいいでしょう。どちらも違法だし。
もし仮に、このヴェリイ美容形成クリニックがボッタクリ多少高めの価格であったとしても、2003年だけでもざっと1~2億円の市場があったということになります。捨てなければいけないゴミが億単位の市場を作り出しているのですから、見事なリサイクルです。環境省から表彰されてもいいくらいだと思います。厚生労働省からは処分を受けますが。

こういう背景があるので、厚生労働省の回収命令の期日を守れなかったのです。「オイシイ商売道具を手放したくなくってずるずると違法に無許可医薬品を作りつづけた」とか「売ってしまったモノだから儲けを優先して回収しなかった」とかそういう理由ではないのです。

なぜなら、メルスモン製薬の「ヒト胎盤製品」の製造コストは1本500~1000円、どんなに高く見積もっても3000円程度だと予想できます。億単位の市場を作り出しているといっても、その利益はごくわずか。残りの差額、1本あたり約2万円の大半はどこかの誰かに収まっているのです。

つまり、悪いのはメルスモン製薬以外のどこかの誰かなのです。

これらのことから「意図的に回収を遅らせたわけではない」ということが導き出せると思います。たぶん。

<最後に>

残念ながらこんな不当に重い処分を受けてしまったメルスモン製薬が今後も製薬会社としてやっていけるのかどうかだけが心配です。

がんばれメルスモン製薬。

p.s. いざとなったらミドリ十字(現在は三菱ウェルファーマ)や日本商事(現在はアルフレッサファーマ)のように社名を変えて、今までのことは無かったことにしてしまえばいいんじゃないかな。

tsuru の紹介

株式会社オフィスコトウ取締役
カテゴリー: くろいおとな的ニセ科学   パーマリンク

メルスモン製薬は悪くない への9件のコメント

  1. ちるこ より:

    メルスモン、バリバリ打ってます。今日も打ってきました。厚生労働省の指導の意味がおバカな私にはイマイチ理解できません。病院では何かあっても、自己責任って事で訴えないでちょって言われちゃいました。ヒト由来のどこがいけないのかわからない。美容形成であつかってるプラセンタなんて、ウシ由来・・・狂牛病の方が怖いのは私だけ?

  2. Mariko より:

    ちるこさん、実は、牛よりも人由来のほうが問題なんですよ。なんでかっていうと、「種の壁」というものがないから、同種間のヒト⇔ヒトのほうが感染しやすいといわれてるのです。

    もし、胎盤提供者がプリオンに異常がある病気を持っていたら、今の消毒方法ではプリオンをやっつけることができないので、感染する可能性が否定できません。お医者さんは「滅菌消毒してるから平気」とかいうヒトもいるでしょうが、そういう医者は勉強していないだけでどーしようもないです。今現在の技術でプリオンを取り除く方法はないです。

    だから今大騒ぎで、英国、仏国に滞在したヒトの献血規制をしているわけで。(血や臓器移植でも感染するので)
    この病気が発症するのは十年単位といわれてます(薬害ヤコブ病だと20年という例もある)から、その場では感染はわかりません。イギリスではようやく美容外科などの規制がはじまりそうですが日本ではまだまだです。勉強して自衛あるのみですね。
    http://life7.2ch.net/test/read.cgi/seikei/1090896937/

  3. へっぽこ より:

    間違わないように言っておくと、今回摘発されたものは「刻み胎盤」なるヒト胎盤製品であり、

    メルスモンそのものは更年期障害などで保険が適用されたれっきとした医薬品です。

  4. 記事参考にさせて頂きました。
    トラックバックもやり方が良く分からないので
    分かったら送ります。
    もう少し細かく調べてコラムアップしようと思っています
    とても面白かったです

  5. らめんて より:

    メルスモンよりも、悪い会社はたくさんあると思います。
    例えば、ホルスという会社はブタのプラセンタを作る会社ですが、工場では内密で、ブタのプラセンタにヒトプラセンタを半分混ぜて販売しています。成分が良くなるからだそうですが、消費者は皆、何も知らずにブタプラと信じて使用しています。
    製品はジャパンナチュラルラボラトリーズ(同系列会社)で主にラメンテブランドで販売されています。

  6. らめんて より:

    メルスモンよりも、悪い会社はたくさんあると思います。
    例えば、ホルスという会社はブタのプラセンタを作る会社ですが、工場では内密で、ブタのプラセンタにヒトプラセンタ(ヒューマンプラセンタ)を半分混ぜて販売しています。成分が良くなるからだそうですが、消費者は皆、何も知らずにブタプラと信じて使用しています。
    製品はジャパンナチュラルラボラトリーズ(同系列会社)で主にラメンテブランドで販売されています。

  7. らめんて より:

    らめんてです。サイトオーナーの方にお願いです。本文と7月17日投稿した2件を削除していただきたいのでお願いします。真偽についてでなく、正当に行きたいと反省しました。お願いします。

  8. へっぽこさんへ より:

    ぺっぽこさんへ
    更年期障害で認可された薬を美肌などの問題で推奨、使用するのは薬事法としてはどうなんでしょうか?

  9. ピンバック: アンチエイジングへの道(アンチエイジングとは?)

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